三つの理(Re)
第一の理(Re)
Reserve――残す。
境界の欄外(リミナルスペース)にある広大な風景。
人間の誰も独占することのできない空白地帯を、あえて触れずに残す――リザーブ。
その賢明な不作為が、時間と心に果てしない広がり、可能性、自由を生む。
誰も住んでいない。誰にも独占されていない。
だからこそ、あらゆる人を受け入れることができる。
時間を超えて伝わり、残されてきた、人々の約束としての広大な場所がここにある。
その驚き。
第二の理(Re)
Remember――思い直し、ふたたびつなぐ。
生活が紡ぐ文化
朝の目覚めから庭の手入れまで、日常のすべてに同じ精神が染み込む。
ものを見る目(目利き)によって、環境の細部をもう一度メンバーとして思い出し、書かれざる、生きて息づく文化の中に自らも織り込む――リ・メンバー。
ここにあるすべてのもの、生き物が互いの価値を認め、それぞれの姿を磨いてきた。
そこには、絶えず文化をつくり出してきた、多様に変化するハーモニー=調和がある。
第三の理(Re)
Renew――新しさを知る能力の復活。
微細な差異との出会いに、赤ちゃんのように心を震わせる。
新しさを受け入れる余裕こそが、ものの見方も人生も生まれ変わらせる――リニュー。
新しさに出会うことで、終わることのない学び=広がり続ける精神を得る。
「三つの理」は、固定された理念や規則ではありません。
ものごとがそのように動いていく筋道、ことわりとして考えられています。
三つの理を英語に置き換えたときに共通して響くReには、それぞれ異なる働きが示されているのを見ることができます。
Reserveは、使い切らず、触ることなく、残す。
残されているからこそ、まだ決められていない可能性が守られる。
Rememberは、日々の生活のなかで、見過ごしていたものを思い直す。
Remember=思い出すとは、過去を呼び戻すことではありません。ばらばらに見えていたもの、人、生き物、環境を、もう一度、同じ世界をつくるメンバー(member)としてつなぎ直すことです。
そしてRenewとは、そのつながりのなかから、それまで見えていなかった新しさを受け取る、というよりも、新しく感じ、受け取る力を取り戻すことです。
Reserve → Remember → Renew
こうして新しく見えるようになった世界は、何を残すべきか、残すとはどういう意味なのかという問いそのものを変えるはずです。
Reserve → Remember → Renew → Reserve
三つの理(Re)は、こうして循環します。
残すことは、変化を拒むことではない。
思い出すことは、昔へ戻ることではない。
新しくなることは、古いものを捨てることではない。
すべてを知っているわけではないし、できるわけでもない、経験することもできない。まずそれを受け入れることです。すると世界は開けてくる。あらゆるところに発見がある。
知らないという空白をもつ。 Reserve
それが発見をつくりだす。 Renew
見過ごしていた、忘れていたつながりが現れてくる。 Remember
世界はこうして再生しつづける。
文化とは保存される対象ではありません。
保存され受け継がれるべきなのは、
それを残し、想起し、つなぎ直すという営み、です。
暗記しなくてもいい、忘れてもいい。
見る 聞く 触る するとかならず思い出す。
その働きこそが 保存されなければなりません。
それは、生きるということの、スタイルです。
すでに自然、動物、植物はその生のスタイル、態勢をもっている。
だから心配しない。